休憩中、外国人スタッフ同士の会話から聞こえてきたのは、こんな言葉でした。
「向こうの会社、今より月3万円高いって。」
社長は、よくある雑談だと思っていました。
ところが翌月、1人が退職。その後、同じ職場で働いていた2人からも退職の申し出がありました。
「来月のシフト、誰が埋めるんだ?」
採用の問題だと思っていたことが、突然、納期と売上の問題に変わりました。
条件の比較は、会社の外でも進んでいます
給与、残業代、手当、寮費、休日、仕事の負担。働く人が知人や同僚と勤務条件を比べることは、国籍にかかわらず自然なことです。
一方で、同じ地域や業界、学校、SNS、知人などのつながりを通じて、勤務先を越えた情報交換が短期間で広がる場合があります。「外国人はすぐ辞める」と一括りにするのではなく、自社の条件や職場環境が、働く人からどう見えているかを確認する必要があります。
怖いのは、1人の退職で終わらないこと
1人が条件の良い職場へ移り、実際の待遇や働きやすさを元同僚へ伝える。その情報をきっかけに、さらに複数人が転職を考えることがあります。
- 欠員でシフトが組めない
- 残った従業員の残業や負担が増える
- 生産量や受注量を落とさざるを得ない
- 納期遅延やサービス停止が起きる
- 教育担当者まで疲弊し、次の離職を招く
人材流出が連鎖すると、採用費の問題だけでなく、取引先への履行や事業継続に影響します。
賃金だけを見ても、定着の理由は分かりません
賃金は重要です。しかし、定着を左右する要因はそれだけではありません。
- 仕事の内容と評価基準が分かりやすいか
- 残業、控除、昇給の説明に納得感があるか
- 相談できる上司や通訳・支援担当がいるか
- 安全教育や作業指示が理解できる言葉で伝わっているか
- 生活面、住居、通勤上の困りごとを相談できるか
- 不公平な扱いや孤立がないか
- 将来の役割や成長の道筋が見えるか
「給与を上げれば解決」と決めつけず、退職の兆候と職場側の改善点を分けて確認することが大切です。
退職の申し出が出たときの初動
- 本人の話を個別に聞く
国籍やグループの問題と決めつけず、賃金、仕事内容、人間関係、生活上の事情を確認します。 - 複数退職を前提に影響を試算する
誰が抜けると、どの工程・シフト・取引先に影響するかを確認します。 - 引き留めの約束を急がない
その場しのぎの昇給や例外待遇は、新たな不公平感を生むことがあります。社内基準と継続可能性を確認します。 - 代替要員と業務縮小の判断基準を決める
応援要員、外注、配置転換、受注制限など、欠員時の選択肢を準備します。
3分で確認する「外国人スタッフの定着と複数退職」チェック
- □ 給与、手当、残業代、控除の内容を本人が理解できる形で説明している
- □ 同じ仕事をする従業員の待遇差を説明できる
- □ 入社後1か月・3か月・6か月など、定期面談の時期を決めている
- □ 面談では賃金だけでなく、仕事、生活、将来の希望も確認している
- □ 相談窓口や支援担当者が本人に伝わっている
- □ 複数人が同時に辞めた場合のシフト・生産への影響を把握している
- □ 重要な作業が特定の人だけに集中していない
- □ 応援要員、外注、採用ルートなど欠員時の代替策がある
「採用できるか」だけでなく、「同時に辞めても回るか」
外国人スタッフの雇用を特別な問題として見るのではなく、情報が共有されることを前提に、待遇の納得感、対話、業務の代替性を整えることが重要です。
1人の退職を、突然の事業停止へつなげない。そのための準備が、人に関する経営リスク対策になります。
法人リスクダムの事前対策相談
法人リスクダムでは、人材の定着、複数退職時の業務継続、社内の面談・連絡体制など、会社が事前に確認しておきたいポイントを整理します。
ご確認ください
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。働く人の転職理由や職場への評価は、本人の状況、業務内容、地域の雇用環境などによって異なります。国籍や属性による決めつけを避け、個別の事情を確認してください。本文の金額・事例は、リスクを分かりやすく説明するための架空の例です。


