採用面接で、外国人の応募者に確認しました。
「日本で働けますか?」
本人は「大丈夫です」と答えました。忙しかった担当者は、在留カードを見ないまま採用しました。
数か月後、会社が知ったのは、その仕事が本人の在留資格では認められていなかったという事実でした。
「本人が大丈夫と言ったので、確認していませんでした。」
しかし、それだけで会社の責任を避けられるとは限りません。
不法就労になる代表的なケース
不法就労は、在留資格がない人を働かせる場合だけではありません。出入国在留管理庁は、主に次のようなケースを案内しています。
- 就労が認められていない在留資格で働く
例:観光などの「短期滞在」で入国した人を、許可なくアルバイトとして雇う。 - 在留期限を過ぎた人を働かせる
在留期間の更新が認められず、適法な在留資格がない状態で就労する。 - 在留資格で認められた範囲を外れる仕事をさせる
就労系の在留資格があっても、許可された活動と実際の業務が一致するとは限りません。 - 資格外活動許可がない、または許可の範囲を超えて働かせる
「留学」「家族滞在」など、原則として就労できない在留資格では、別途の資格外活動許可が必要です。
在留カードは、表と裏を確認します
採用時は、在留カード表面の「就労制限の有無」を確認します。
- 「就労不可」:原則として雇用できません。裏面の資格外活動許可欄も確認します。
- 「在留資格に基づく就労活動のみ可」:在留資格と実際に担当させる業務が合っているか確認します。
- 「指定書により指定された就労活動のみ可」:パスポートに添付された指定書の内容を確認します。
- 「就労制限なし」:就労内容の制限はありません。
表面だけでなく、在留期間(満了日)、在留資格、裏面の資格外活動許可欄を確認します。「特定活動」や「特定技能」などでは、指定書の確認が必要になることがあります。
カード番号が失効していないかは、出入国在留管理庁の照会サイトで確認できます。ただし、実在する番号を悪用した偽造カードもあるため、照会結果だけで判断せず、券面の真偽確認や公式の読取アプリも組み合わせます。
留学生などの「週28時間」は合算で管理します
包括的な資格外活動許可を受けた留学生などは、原則として1週28時間以内で働くことができます。留学生は、在籍する教育機関の学則で定める長期休業期間中は1日8時間以内です。
複数の勤務先で働いている場合、28時間は勤務先ごとではなく、原則として全勤務先の就労時間を合計して考えます。また、風俗営業等に関係する活動は、資格外活動許可の対象外です。
本人からの申告だけに頼らず、他社勤務の有無と時間を定期的に確認し、自社のシフトを管理する必要があります。個別許可の場合は、資格外活動許可書に記載された活動の範囲も確認します。
「知らなかった」でも、確認不足が問題になります
不法就労させたり、不法就労をあっせんした場合、事業主側が不法就労助長罪に問われる可能性があります。
出入国在留管理庁は、事業主が不法就労であることを知らなかった場合でも、在留カードを確認していないなど、そのことに過失があるときは処罰を免れないと案内しています。
2026年8月現在の法定刑は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方です。2027年4月1日施行予定の改正では、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方へ引き上げられます。
経営への影響は、刑事責任だけではありません
- 捜査・調査への対応と業務停止
- 取引先や顧客からの信用低下
- 採用・人材配置のやり直し
- 建設、製造、介護、外食など現場のシフト崩壊
- 職業紹介・労働者派遣など許認可事業への影響
- 外国人本人の在留・生活への重大な影響
担当者一人の確認漏れが、会社全体の信用と事業継続に影響する可能性があります。
問題が判明したときの初動
- 該当する就労をいったん止める
事実が不明なまま勤務を継続させず、在留カード、旅券、指定書、資格外活動許可書などを確認します。 - 担当業務と勤務時間を記録する
雇用開始日、実際の業務、勤務時間、指示系統、確認時の記録を整理します。 - 入管や専門家へ確認する
判断が難しい場合は、地方出入国在留管理官署、外国人在留総合インフォメーションセンター、行政書士・弁護士などへ相談します。 - 本人だけの責任にしない
会社の採用・配置・勤怠管理のどこで確認が抜けたかを検証し、再発防止につなげます。
3分で確認する「外国人雇用の在留管理」チェック
- □ 採用時に在留カードの原本を確認している
- □ 表面の在留資格、在留期間、就労制限の有無を確認している
- □ 裏面の資格外活動許可欄を確認している
- □ 必要に応じて指定書・資格外活動許可書も確認している
- □ 実際に担当させる業務が許可された活動に該当するか確認している
- □ 在留期限を台帳で管理し、満了前に本人へ確認している
- □ 資格外活動の時間を、他社勤務分も含めて確認している
- □ 異動や仕事内容の変更時に、在留資格との適合を再確認している
- □ 確認日、確認者、確認資料を記録している
- □ 判断に迷ったときの相談先が決まっている
本人の「大丈夫」を、会社の確認に置き換えない
在留カードを一度見れば終わりではありません。採用時、更新時、異動時に、在留期限、許可された活動、実際の業務、勤務時間を確認する仕組みが必要です。
確認した事実と判断の記録を残す。それが、外国人本人と会社の双方を守るための基本です。
法人リスクダムの事前対策相談
法人リスクダムでは、採用時の確認、在留期限・勤務時間の管理、担当業務変更時のチェックなど、会社が事前に整えたい確認体制を整理します。
参考情報
- 出入国在留管理庁「在留カードはどういうカード?」
- 出入国在留管理庁「資格外活動許可について」
- 出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」
- 出入国在留管理庁「改正法の概要(育成就労制度の創設等)」
ご確認ください
本記事は2026年8月25日時点の公表情報に基づく一般的な情報提供であり、個別の法的判断を行うものではありません。在留資格、指定書、資格外活動許可、担当業務などにより判断は異なります。個別の事案は出入国在留管理官署または行政書士・弁護士等の専門家へご相談ください。


