院長先生、そのとき最初に何をしますか?
退職したスタッフから、突然こんなメールが届いたら?
「先生、いつも胸元ばかり見ていましたよね。」
「私はセクハラだったと思っています。」
「今後の連絡は、代理人を通してください。」
先生なら、最初に何をしますか?
事実かどうかを判断する前に、返信の仕方、確認の順番、周囲への伝え方によって、その後の状況が変わる可能性があります。
あなたなら、どれを選びますか?
「不快な思いをさせて申し訳ありませんでした」と、その場で全面的に謝罪する。
「そのような意図はありません」「事実ではありません」と反論する。
申告内容を院内で共有し、広く聞いて回る。
メールや勤務記録を保存し、確認手順と連絡窓口を整える。
弁護士、社会保険労務士などへ相談し、対応方針を確認する。
法人リスクダムからの回答
最初に必要なのは、「結論」ではなく「状況を悪化させないこと」です。
申告を受けた時点では、何が起きていたのか、双方がどのように認識していたのかは、まだ確認できていません。すぐに全面的な謝罪や否定をするのではなく、次の順序で冷静に対応することが重要です。
- 受信したメールや添付資料を原文のまま保存する
- 返信・連絡の担当者を決め、窓口を一本化する
- 申告内容、日時、場所、関係者を整理する
- 勤務記録、メール、防犯カメラなど関連資料を保全する
- プライバシーに配慮し、必要な範囲で事実確認を行う
- 早い段階で弁護士や社会保険労務士などへ相談する
最初の返信例
ご連絡を受け取りました。お申し出の内容を重く受け止め、事実関係を確認いたします。ご指定の連絡方法を確認したうえで、以後の窓口を整理してご連絡します。なお、確認には一定のお時間をいただく場合があります。
※個別案件にそのまま使用する文面ではありません。代理人から連絡がある場合などは、返信前に専門家へ相談してください。
やってはいけない対応
- 感情的に反論する
- 事実確認前に全面的な謝罪や法的責任を認める
- 申告者へ繰り返し直接連絡する
- 「今さらなぜ」「退職した人の話だから」と軽く扱う
- 院内のグループチャットなどで申告内容を共有する
- 他のスタッフへ回答を誘導するような聞き方をする
- メール、勤務記録、防犯カメラ映像などを削除する
- 申告者や確認に協力した人を非難する
- SNSや口コミサイト上で反論する
問題になるのは、申告内容だけではありません
専門家対応、紛争対応、損害賠償請求などの負担。
他のスタッフの動揺、退職、院内の信頼関係への影響。
口コミ・SNS、採用、患者数、院長の診療時間への影響。
「何もなかった」と確認されるまでにも、対応コストは発生します。申告の事実関係と、医院の対応が適切だったかどうかは、分けて考える必要があります。
10項目セルフチェック
あなたの医院は、突然の申告に対応できますか?
- □ ハラスメント相談の受付窓口を決めている
- □ 院長本人が申告対象になった場合の別窓口がある
- □ 相談を受けた際の記録様式がある
- □ メールや勤務記録などの保全方法を決めている
- □ スタッフへの確認方法と担当者を決めている
- □ 相談者と関係者のプライバシー保護ルールがある
- □ 相談や確認協力を理由とする不利益な取扱いを禁止している
- □ 弁護士または社会保険労務士の連絡先がすぐ分かる
- □ 申告を受けた際の院内対応手順を定期的に確認している
- □ 院長不在時にも初動対応ができる
気になる項目があれば、平時のうちに初動手順と相談先を整えておきましょう。
雇用・ハラスメントリスクを、問題が起きる前に備える
相談窓口の設置、院内ルール、記録方法、専門家への連絡手順など、平時に確認しておきたい項目を一緒に整理します。
※すでに申告・請求・代理人からの連絡などを受けている場合は、弁護士その他の専門家へご相談ください。
最終確認日:2026年8月17日
本コンテンツは特定の人物・医院・事件を題材としたものではなく、個別事案について法的判断を示すものではありません。実際に申告・請求・代理人からの連絡などを受けた場合は、具体的な対応を行う前に弁護士、社会保険労務士その他の専門家へご相談ください。
ご確認ください
本ページは、法人・医療機関等の経営リスクを考えるための一般的な情報です。個別の事故における責任の有無や必要な対応は、具体的な状況によって異なります。実際の事故や個別の判断については、関係機関または適切な専門家へご確認ください。
相談窓口では、現在気になっているリスクや、平時に確認したい事項を整理します。


