患者さんから「不必要に身体を触られた」と申告されたら?

患者からの申告を聞き取る職員と、不安そうに見守る医師

院長先生、そのとき最初に何をしますか?

患者さんから「不必要に身体を触られた」と申告されたら?

事実か、誤解か。
それすら、まだ分からない。

受付スタッフから、患者さんがこう話していると報告を受けた。

「診察中に、不必要に身体を触られたと感じました。」

先生なら、その場で何と答えますか?

診療上必要な行為だったのか。説明が不足していたのか。認識の違いがあったのか。この時点では、まだ結論は出せません。

あなたなら、どれを選びますか?

A その場で強く否定する

「診療に必要な行為です。そんなことはしていません」と答える。

B すぐに全面的な謝罪をする

「すべてこちらが悪かったです」と責任を認める。

C 話を遮らずに聞く

不安や不快を感じたという申出を受け止め、内容を確認する。

D カルテを確認する

診療日時、処置、説明、同席者、診療室の状況を整理する。

E スタッフ・専門家へ相談する

当時の状況を個別に確認し、必要に応じて弁護士などへ相談する。

法人リスクダムからの回答

その場で「正しい・間違い」を決めないことが重要です。

患者さんが不安や不快を感じたという申出を遮らずに受け止めます。ただし、事実確認前に責任を認めたり、反対に患者さんの認識を否定したりすることではありません。

  1. 落ち着いて話を聞く
  2. 患者さんの安全とプライバシーに配慮する
  3. 申告された言葉をできるだけ正確に記録する
  4. 診療日時、処置内容、説明内容を確認する
  5. カルテや予約記録などを変更せず保全する
  6. 同席スタッフには個別に事実確認する
  7. 今後の連絡担当者を決める
  8. 必要に応じて院内責任者や弁護士などへ相談する

その場での回答例

お話しいただきありがとうございます。診察中の対応について、不安や不快なお気持ちになられたことを重く受け止めています。まず当日の診療内容と状況を確認させてください。確認後のご連絡方法についても、ご希望を伺います。

申告を否定せず、同時に事実や法的責任を確定させないための一般的な回答例です。

やってはいけない対応

  • 「診療だから問題ない」と一方的に説明する
  • 「勘違いではありませんか」と患者さんの認識を否定する
  • その場で患者さんと議論する
  • 事実確認前に全面的な責任を認める
  • 申告を撤回するよう求める
  • 受付や待合室など、第三者に聞こえる場所で話す
  • スタッフ全員の前で申告内容を共有する
  • カルテへ後から事実と異なる記載を加える
  • 防犯カメラ映像などを上書きのまま放置する
  • SNSや口コミを恐れて特別な条件を提示する

「説明すれば分かるはず」が通用しないこともあります

診療上必要な接触であっても、事前の説明や声かけが不足していれば、患者さんが不安を感じることがあります。医療行為としての必要性だけでなく、何を説明したか、理解をどう確認したか、誰が同席したか、どのような記録が残っているかまで確認することが大切です。

申告後の対応も、医院経営に影響します

患者対応

信頼関係、診療継続、口コミ・SNSへの影響。

外部対応

医療安全支援センター、弁護士、関係機関への対応。

院内への影響

スタッフの動揺、証言対応、診療時間、法人の信用。

申告内容と同じくらい、「申告後にどう対応したか」が問われます。丁寧な受付、記録の保全、客観的な確認、窓口の一本化が、その後の混乱を抑える助けになります。

10項目セルフチェック

診察時の身体接触について、医院のルールはありますか?

  • □ 診察前に、触れる場所と目的を説明している
  • □ 患者さんへ声をかけてから診察・処置を行っている
  • □ 希望があった場合にスタッフが同席できる
  • □ 診療内容や説明をカルテに記録している
  • □ 患者さんからの申告を受ける担当者を決めている
  • □ 受付スタッフ向けの初動対応手順がある
  • □ 個室や半個室での診療リスクを確認している
  • □ 防犯カメラ映像などの保存期間を把握している
  • □ 申告を受けたときの記録様式がある
  • □ 院内責任者・弁護士など緊急相談先が分かる

気になる項目があれば、受付・診療・記録・相談の手順を平時に整えておきましょう。

診療時のリスクを、問題が起きる前に備える

患者さんへの説明方法、スタッフ同席の基準、カルテへの記録、申告を受けた際の院内手順など、平時に確認しておきたい項目を一緒に整理します。
※すでに患者さんから申告・請求・代理人からの連絡などを受けている場合は、弁護士その他の専門家へご相談ください。

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参考資料・最終確認

厚生労働省・医療安全支援センター

最終確認日:2026年8月17日

本コンテンツは特定の人物・医院・事件を題材としたものではなく、個別事案について法的判断を示すものではありません。実際に申告・請求などを受けた場合は、具体的な対応を行う前に弁護士その他の専門家へご相談ください。

ご確認ください

本ページは、法人・医療機関等の経営リスクを考えるための一般的な情報です。個別の事故における責任の有無や必要な対応は、具体的な状況によって異なります。実際の事故や個別の判断については、関係機関または適切な専門家へご確認ください。

相談窓口では、現在気になっているリスクや、平時に確認したい事項を整理します。

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