朝、電子カルテが開かなかったら?

電子カルテが開かず、混雑した待合室を前に対応を急ぐ医師と受付スタッフ

医療機関のサイバー・事業継続リスク

朝、電子カルテが開かなかったら?

電子カルテに接続できません。

会計システムを起動できません。

システム管理者へ連絡してください。

受付開始まで、あと10分。
待合室には、すでに予約患者がいる。

カルテが見られない。レントゲン画像も確認できない。会計もできない。

先生なら、診療を続けますか?

まず考えるのは「復旧」だけではありません

単なる機器故障なのか、通信障害なのか、サイバー攻撃なのか。この時点ではまだ分かりません。診療継続の可否、患者安全、感染拡大の防止、記録の保全を同時に判断する必要があります。

A 何度も再起動する

直るまで端末やサーバーの電源を入れ直す。

B すべての電源を切る

原因が分からないまま、一斉に機器を停止する。

C 診療を通常どおり続ける

記憶や患者さんの説明だけで処置を進める。

D 影響範囲を確認する

どの端末・機器・拠点で何が使えないかを整理する。

E 手順に従い連絡する

院内責任者、保守事業者などへ決められた経路で連絡する。

法人リスクダムからの回答

原因が分からないまま、再起動や初期化を繰り返さない

復旧を急ぐあまり操作を繰り返すと、被害が広がったり、原因調査に必要な記録が失われたりする可能性があります。一律に電源を切るのではなく、院内の対応手順と専門事業者の指示に従うことが重要です。

  1. 発生時刻と最初に表示された画面・メッセージを記録する
  2. 電子カルテ、会計、画像、予約、電話など影響範囲を確認する
  3. 異常が疑われる端末を院内手順に従ってネットワークから切り離す
  4. 院内責任者と契約中の保守事業者へ連絡する
  5. 診療を継続できる患者と延期すべき患者を安全面から判断する
  6. 紙の記録、本人確認、処方・会計の代替手順へ切り替える
  7. 必要に応じて所管官庁、警察などへ連絡する

やってはいけない対応

  • 原因が分からないまま再起動を何度も繰り返す
  • バックアップを確認せず、初期化や再インストールを行う
  • エラー画面や不審なメッセージを撮影せず閉じる
  • 影響を確認しないままUSBメモリや別端末を接続する
  • カルテを確認できない状態で、危険を伴う処置を通常どおり進める
  • 紙に記録した患者情報を机上や受付へ放置する
  • 医院内だけで解決しようとして、保守事業者への連絡を遅らせる
  • 復旧を優先し、調査に必要な記録を消してしまう

実際に、医療機関で診療へ影響が出ています

厚生労働省の資料には、ランサムウェアなどにより電子カルテや院内システムが使用できなくなった国内事例が掲載されています。

  • 電子カルテが使用できず、紙カルテで診療を継続
  • 医療情報を長期間参照できない状態が発生
  • 診療報酬請求や医療費償還に遅れ
  • 電子カルテだけでなく会計システムも停止
  • 復旧を優先して証拠保全を行わず、正確な原因究明が困難になった例

システムが止まっても、患者対応は止まりません

診療判断

既往歴、アレルギー、投薬、画像を確認できない患者に、どこまで処置できるか。

受付・予約

当日の予約、連絡先、来院目的を別の方法で確認できるか。

記録

紙で残した診療記録を、復旧後に誰がどのように入力するか。

会計・請求

窓口負担、領収書、診療報酬請求を後日照合できるか。

平時に決める「診療継続の5項目」

1 緊急連絡網

保守事業者、院内責任者、警察、所管官庁の連絡先を紙でも保管する。

2 紙の代替様式

受付、問診、診療記録、処方、会計に必要な用紙を用意する。

3 診療の継続基準

続けられる処置、延期する処置、救急対応の基準を決める。

4 バックアップ復元

保存しているだけでなく、実際に復元できるか定期的に確認する。

5 サイバーBCP訓練

システム停止を想定し、受付から復旧後の再入力まで試しておく。

10項目セルフチェック

電子カルテが止まった朝、医院は動けますか?

  • □ システム障害時の院内責任者を決めている
  • □ 保守事業者の緊急連絡先を紙でも保管している
  • □ 異常端末をネットワークから切り離す手順がある
  • □ 電子カルテを使わない受付・問診方法がある
  • □ 紙の診療記録・会計用紙を準備している
  • □ 診療継続・延期の判断基準がある
  • □ バックアップからの復元テストを行っている
  • □ サーバーとバックアップが同時に被害を受けない構成を確認している
  • □ 復旧後の記録入力・照合手順を決めている
  • □ 所管官庁・警察への連絡基準と連絡先を確認している

気になる項目があれば、システム停止を想定した手順を平時に整えましょう。

電子カルテが止まる前に、診療を続ける方法を決めておく

緊急連絡網、紙の代替手順、バックアップなど、問題が起きる前に確認しておきたい項目を一緒に整理します。

※すでにサイバー攻撃や情報漏えいが発生している場合は、保守事業者、警察、所管官庁、弁護士などの専門機関へ速やかにご相談ください。

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最終確認日:2026年8月17日

本コンテンツは一般的な情報提供を目的とし、個別の医療判断、システム復旧または法的判断を示すものではありません。実際の対応は、各システムの仕様、院内手順および専門事業者の指示に従ってください。

ご確認ください

本ページは、法人・医療機関等の経営リスクを考えるための一般的な情報です。個別の事故における責任の有無や必要な対応は、具体的な状況によって異なります。実際の事故や個別の判断については、関係機関または適切な専門家へご確認ください。

相談窓口では、現在気になっているリスクや、平時に確認したい事項を整理します。

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