「責任者は亡くなりました」——それで、3,000万円の損害賠償問題は消えるのでしょうか。

亡くなった社長の遺族へ、将来の損害賠償請求書が波のように押し寄せるイメージ

会社を経営していれば、日々さまざまな判断を迫られます。

  • 従業員の採用や解雇
  • 新規事業への投資
  • 取引先との契約
  • 資金調達
  • 設備投資
  • 会社資産の処分

では、こうした経営判断によって会社などに大きな損害が生じ、社長個人が損害賠償責任を負った場合はどうなるのでしょうか。

さらに、その後に社長が亡くなったら――。

「本人が亡くなったのだから、責任もそこで終わる」

必ずしもそうとは限りません。

経営上の責任が「個人の債務」になることがある

取締役がその任務を怠り、それによって会社に損害を与えた場合、会社法423条に基づき、会社に対する損害賠償責任を負う可能性があります。

また、悪意または重大な過失によって第三者に損害を与えた場合には、会社法429条に基づき、第三者に対する損害賠償責任が問題となることもあります。

重要なのは、会社で起きたことが、必ずしも会社だけの問題で終わるとは限らないという点です。

事案によっては、取締役や社長の個人財産に関わる責任へ発展する可能性があります。

社長が亡くなった後、責任はどうなる?

ここは見落とされやすいポイントです。

社長個人に生じた損害賠償債務は、本人が亡くなったからといって当然に消滅するとは限りません。財産上の債務として、相続の対象になる可能性があります。

経営判断
↓
会社などに大きな損害が発生
↓
社長個人に損害賠償責任が発生
↓
社長が死亡
↓
損害賠償債務が相続問題へ

経営者本人だけの問題だと思われていたものが、結果として、残された家族の相続問題につながることもあり得るのです。

家族が必ず債務を負担するという意味ではありません

相続人には、相続放棄や限定承認などの制度があります。

したがって、「経営判断を誤れば、家族が必ず債務を背負う」ということではありません。

正確には、次のように考える必要があります。

役員個人に生じた損害賠償債務は、死亡によって当然に消えるとは限らず、相続人に承継される可能性がある。

相続の方法を検討できる期間には限りがあります。また、具体的な対応は、財産や債務の状況によって異なります。万一の場合に慌てないためにも、自社にどのような経営上の責任があり得るのか、平時から整理しておくことが大切です。

3分チェック

  • □ 役員個人が損害賠償請求を受ける可能性のある事例を確認したことがある
  • □ 会社から役員個人へ責任が追及される可能性を検討している
  • □ 株主・従業員・取引先などとの間で生じ得る責任問題を整理している
  • □ 役員個人に責任が生じた場合の対応方針を社内で決めている
  • □ 役員が亡くなった場合、その責任がどのように扱われるかを確認している

気になる項目や確認できていない項目があれば、一度整理しておく価値があります。

法人リスクダムからのひと言

会社の経営リスクを考えるとき、会社そのものに生じる損失だけに目が向きがちです。

しかし、経営判断を行うのは「人」です。

場合によっては、会社の問題が経営者個人の責任となり、さらに相続の問題へつながる可能性があります。

「自社では、どのような場合に役員個人の責任が生じ得るのか」

この機会に、一度確認してみてはいかがでしょうか。


※本記事は、企業経営上のリスクに関する一般的な情報提供を目的としており、個別の法律判断を示すものではありません。具体的な事案については、弁護士などの専門家へご相談ください。

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本ページは、法人・医療機関等の経営リスクを考えるための一般的な情報です。個別の事故における責任の有無や必要な対応は、具体的な状況によって異なります。実際の事故や個別の判断については、関係機関または適切な専門家へご確認ください。

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