「会社を畳めば終わりですか?」――火災事故のあとにも責任は続く

経営リスク

火災事故で会社はどこまで追われるのか|後編

前編の「重過失と二重苦」に続き、火災事故のあとに残り得る責任を扱います。

前編:「失火法があるから大丈夫!?」――重過失とされた瞬間、二重苦が始まる →

高額な損害賠償。会社には払えない。

そこで経営者は考えるかもしれません。

「会社を畳めば、そこで終わるのではないか」

しかし――事故の責任は、廃業届や会社の看板と一緒に消えるとは限りません。

会社を畳んでも、責任が残ることがある

誰が債務を負うかは、法人か個人事業か、代表者個人の責任が成立するか、保証や判決の内容などで異なります。

会社を清算・破産したからといって、どの事故でも代表者個人の責任が当然に残るわけではありません。一方、個人事業主の債務や、代表者個人にも責任が認められた場合などは、廃業後も支払いの問題が続く可能性があります。

再就職しても、給与差押えの可能性

支払い義務が確定し、任意に支払われなければ、債権者が強制執行を申し立てることがあります。

預金や不動産だけではありません。再就職後の給与が差押えの対象になる場合もあります。ただし、給与の全額が差し押さえられるわけではなく、法令上の制限があります。

会社を失う。仕事を変える。それでも支払いが残る。

自己破産すれば、すべて消える?

それも一律ではありません。

破産法は、一定の損害賠償請求権を非免責債権としています。たとえば、故意または重大な過失によって人の生命・身体を害した不法行為に基づく損害賠償債務は、免責されない場合があります。

ただし、火災による物的損害がすべてこの規定に当たるわけではありません。事故の対象、原因、責任の根拠によって結論は変わります。

本人が亡くなったら、債務は消える?

原則として、相続では預金や不動産だけでなく、借金などの義務も承継の対象になります。

本人が亡くなったからといって、残っている債務が当然に消えるとは限りません。相続人は、相続放棄や限定承認を検討することになります。

相続放棄は原則、自己のために相続が始まったことを知った時から3か月以内。

調査しても判断材料が得られない場合などは、家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられることがあります。遺産を処分すると放棄に影響する場合もあるため、早い確認が重要です。

火が消えたあとから始まる問題

廃業。再就職。給与差押え。破産。そして相続。

これは一つの実話として一直線に起きたと断定する話ではありません。事故の責任が長く残る場合に、制度上起こり得る問題を並べたものです。

火災事故は、消火されたところで終わるとは限りません。

3分経営リスクチェック|事故後の責任まで見ているか

□ 法人と代表者個人の責任を分けて把握しているか

□ 高額賠償が事業継続へ与える影響を試算しているか

□ 強制執行や給与差押えの可能性を理解しているか

□ 破産で必ず免責されると決めつけていないか

□ 家族が相続放棄の期限を知っているか

事前対策の相談窓口はこちら


※本記事は一般的な情報であり、個別の責任、強制執行、免責、相続の結論を断定するものではありません。具体的な事情については、弁護士、司法書士、家庭裁判所その他の適切な専門家・関係機関へ早めにご確認ください。

【主な公的根拠】
e-Gov法令検索「破産法」
e-Gov法令検索「民法」
裁判所「相続の放棄の申述」

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