「みんな打ってるぞ」
「会社としては、打ってもらわないと困る」
あの頃。
取引先への訪問。
社内感染への不安。
社員やその家族への心配。
会社を守るため。
社員を守るため。
社長も、そう考えて言ったのかもしれない。
そして数年後――
会社に一通の通知書が届いた。
「接種後から体調不良が続いています」
そして、もう一言。
「私は打ちたくありませんでした」
「社長に言われたから、打ったんです」
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■あの一言は「お願い」だったのか
従業員へのワクチン接種の強制と会社責任
厚生労働省は、新型コロナワクチンについて、本人の意思に基づいて接種を受けるものであり、職場で接種を強制したり、未接種を理由に差別的な扱いをしたりしないよう求めていました。
では、
「できれば打ってほしい」
「全員打ってください」
「打たないなら客先には行かせられない」
「打たないなら仕事を続けてもらうのは難しい」
これらは全部、同じでしょうか。
問題になった時に見られるのは、
「本人が本当に自由に判断できる状況だったのか。」
そこです。
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■労災の判断でも「会社からの業務命令だったか」が見られる
厚生労働省は、一般の労働者がワクチン接種によって健康被害を受けたとして労災請求した場合、
「事業主からの業務命令によるものかどうかなどを調査した上で判断する」
としています。
つまり、
「会社から言われて打ったのか」
という事実そのものが、後から確認される可能性があります。
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■では、会社が損害賠償するのか
ここは別の話です。
接種後に体調不良があったからといって、直ちに会社が損害賠償責任を負うわけではありません。
会社が本当に接種を強制したのか。
その行為に違法性があったのか。
接種と症状との間に因果関係が認められるのか。
どこまでが会社の行為による損害なのか。
実際に会社の賠償責任が認められるには、いくつもの問題があります。
しかし――
「会社が責任を負うか」と、
「会社が責任を追及されるか」は同じではありません。
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当時は、社員を守るための一言だったかもしれない。
数年後。
その一言を、社員はこう覚えているかもしれません。
「私は打ちたくなかった」
「会社に言われたから打った」
そして会社側に、
当時のメールも、
説明した記録も、
本人の意思を確認した記録も残っていなかったら――。
「あの時、そんな意味で言ったんじゃない」
その説明だけで終わるでしょうか。
何年も前の、社長の一言。
それが突然、
「会社の問題」として戻ってくることがあります。

