「社長、社宅で水漏れさせちゃいました」
「何やったんだ?」
「洗濯機のホースが外れて……下の部屋まで水がいったみたいです」
「それで?」
「下の人、かなり怒ってます」
「大家に言えよ」
「大家さんにも言ったんですけど……」
「そっちで何とかしてください、って」
「じゃあ、お前で何とかしろ!」
「でも……」
「今度は何だ?」
「下の人のテレビ、濡れて壊れたみたいで」
「弁償してくれって言ってます」
「……知らんよ。お前がやったんだろ?」
数日後。
会社に封筒が届いた。
「損害賠償請求書」
宛名は、
「株式会社○○ 御中」
社長が社員を呼ぼうとすると――
机の上に、もう一枚。
「退職届」
そこには一言。
「今回の社長の対応に、うんざりしました。」
社長は頭を抱えた。
借上社宅の水漏れ。会社は本当に無関係?
水漏れしたのは社員。
でも、
借上社宅の契約者は会社だった。
社員の事故だから会社は関係ない。
そう思っていたら、
請求書も、退職届も、こちらに来た。
――まさか、こちらに。
社宅は、借りる時は福利厚生。
事故が起きると、
会社の契約です。

