社員の喧嘩シリーズ①
昼休みを終え、社員たちが現場に戻ろうとしていた。
突然、一人の社員が同僚に詰め寄った。
「お前、俺の彼女に何をした?」
「は?仕事と関係ないだろ」
胸ぐらをつかむ。
口論になる。
そして――
殴った。
相手は転倒。
救急搬送され、骨折していた。
「仕事中だから労災ですよね?」
しかし、喧嘩の原因は仕事ではない。
原因は完全な私怨。
勤務時間中、会社の現場で起きたとしても、それだけで業務災害になるわけではありません。
個人的な恨みや私生活上のトラブルによる暴行であれば、労災と認められない可能性があります。
では、会社としては、
「プライベートの喧嘩なら、ウチは関係ない」
で終われるのでしょうか。
今度は、怪我をした社員から会社へ
怪我をした社員は、殴った本人に損害賠償を請求。
ここまでは想像できます。
ところが――
会社にも請求してきた。
「ちょっと待ってくれ」
「俺の彼女がどうこうって話だろ?」
「なんで会社まで訴えられるんだ?」
問われるのは「会社は知っていたのか」
私的な喧嘩だからといって、会社が必ず責任を負うわけではありません。
しかし例えば、
以前から二人が激しく揉めていた。
「いつか殴ってやる」と話していることを上司が知っていた。
過去にも暴力沙汰があった。
被害社員から相談を受けていた。
それでも会社が何もせず、同じ現場で働かせ続けていた――。
そうなれば、
「会社は危険を予見できなかったのか」
「事故を防ぐ措置を取るべきではなかったのか」
という別の問題が出てきます。
私怨だから、会社は関係ない?
そう思っていた社長。
気がついたら、
殴った社員だけではなく、会社も請求の相手になっていました。
3分チェック
□ 社員同士の深刻なトラブルを把握していませんか?
□ 暴力的な言動を「本人同士の問題」で済ませていませんか?
□ 相談を受けた記録は残っていますか?
□ 配置変更など、接触を避ける措置を検討しましたか?
「仕事と関係ない喧嘩」と「会社の管理責任」は、必ずしも同じ話ではありません。
※実際の労災認定・法的責任は、個別の事情によって判断されます。


